「AI面接はいくらかかるのか、上司に聞かれて即答できなかった」
「サービスは絞れてきたが、社内を通すための金額の根拠がない」
AI面接の導入を任された採用担当者の方から、このような声をよく伺います。相場を検索すれば「1件いくら」という数字は見つかるのに、なぜ自社の金額は出ないのでしょうか。
これは決して情報が足りないからではなく、1件あたりの単価で比べているうちは、自社の総額は出ないからです。同じ月額でも、面接件数が2倍になったときに費用が2倍になる料金体系と、まったく変わらない料金体系があります。
では、自社の金額はどう出すのか。この記事では、費目別の相場と料金体系の型、自社の年間総額と分岐点を出す計算手順、そして稟議に載せる3つの数字までを整理しました。

| 基礎知識 | |
|---|---|
| AI面接とは? | AI面談との違い |
| メリット・デメリット | 費用相場・料金体系 |
| 導入すべき理由 | 導入の流れ |
| PoC(概念実証)の進め方 | 稟議書の書き方 |
| 比較のポイント | |
- 目次
AI面接の費用が読めなくなる3つの理由

見積を取る前に手が止まる原因は、たいてい3つに絞られます。相場への期待、単価と総額の混同、そして社内工数の見落としです。
この3つに共通しているのは、追加で資料を集めても解決しないという点でしょう。足りていないのは他社の情報ではなく、自社の側で先に決めておくべき数字です。
だからこそ、ここを先に押さえる価値があります。原因が見えていれば、このあとの相場や計算式が「なぜこの順で見るのか」まで含めて理解しやすくなるはずです。逆に原因を飛ばして数字だけを追うと、また同じ場所で止まってしまいます。
相場だけでは自社の金額は出ない
先に正直なところを書きます。この記事は費用相場を扱いますが、相場は計算の起点にはなっても、答えにはなりません。
相場として出てくるのは「1件あたり何円」「月額何円」という費目ごとの目安です。これは価格の物差しではありますが、そこに自社の面接件数を入れないかぎり、支払う金額にはなりません。
たとえば1件あたり1,000円という数字を見ても、それが年間120件なのか2,400件なのかで、総額は12万円と240万円に分かれます。同じ相場の数字から、20倍違う結論が出てくるわけです。
つまり相場を調べる作業と、自社の金額を出す作業は別物といえます。この記事では相場を先に整理しますが、それはあくまで物差しを揃えるためです。金額そのものは、後半の計算手順でご自身の数字を入れて出していただく形になります。
単価の安さと総額の安さは別のもの
2つ目の原因が、単価と総額の混同です。
1件あたりの単価が安い料金体系を選んでも、面接件数が増えれば費用はそのまま比例して増えていきます。応募が読めない採用や、繁忙期に応募が集中する採用では、単価の安さが総額の安さにつながらないことがあります。
反対に、月額が高く見える料金体系でも、件数が増えるほど1件あたりの実質単価は下がっていきます。月額が固定であれば、分母が増えるだけ割安になる構造です。
見るべきは単価ではなく、自社の件数を入れたあとの総額だといえるでしょう。ここを分けて考えられるようになると、価格表の読み方が変わります。具体的な計算は後半で扱いますので、いまは「単価と総額は別の指標」という枠組みだけ持っていただければ十分です。
社内で発生する工数を費用に入れていない
3つ目は、最も見落とされやすい原因です。
AI面接を導入しても、社内の作業がすべて消えるわけではありません。AIレポートを人が確認して合否を判断する時間、質問と評価項目を設計する時間、情報セキュリティと法務の社内審査にかかる時間は残ります。
これらは請求書に載りません。見積書を並べても出てこないため、比較の段階では見えない費用になります。ところが実際には、担当者の時間として確実に発生しているコストでしょう。
そこで本記事では、費用を「請求書に載る費用」と「社内で発生する費用」の2つに分けて扱います。前者は見積で確定できますが、後者は自社で測るしかありません。この区別を持っておくと、導入後に「思ったより手間がかかった」というずれが起きにくくなります。
では、何を見れば自社の金額が出るのか。まず料金体系の型から整理します。
AI面接の料金体系は3つの型に分かれる

AI面接サービスの料金体系は、大きく3つの型に整理できます。面接1件ごとに支払う従量課金型、毎月一定額を支払う月額固定型、そして初期費用と月額と従量を組み合わせる型です。
型が違うと、費用の決まり方そのものが変わります。同じ金額を提示されていても、面接件数が動いたときの振れ幅がまったく違うわけです。
| 型 | 費用の決まり方 | 件数が増えたときの動き | 向く採用 |
|---|---|---|---|
| 従量課金型 | 単価 × 面接件数 | 件数に比例して増える | 件数が読めて、かつ少ない採用 |
| 月額固定型 | 月額 × 契約月数 | 変わらない | 件数が読めない、繁閑差が大きい採用 |
| 組み合わせ型 | 初期費用+月額+従量 | 超過分に応じて増える | 機能要件が個別で、規模も動く採用 |
まずはこの3つを見分けられるようにしておきましょう。見積を読むときの最初の作業は、金額を見ることではなく、それがどの型かを判別することです。
従量課金型:面接1件ごとに支払う
従量課金型は、面接を実施した件数に応じて料金が発生する型です。少ない件数から始めやすく、使わなかった月の費用が発生しない点が実務上の利点になります。
導入のハードルが低いため、まず小さく試したい場合には合いやすい型でしょう。1職種だけ、あるいは1拠点だけで運用してみる、といった始め方ができます。
一方で、件数が増えると費用は比例して増えていきます。応募が読めない採用や、繁忙期に応募が集中する採用では、費用の上限が読みにくくなる点に注意が必要です。
もうひとつ、この型で必ず確認しておきたいのが課金の起点です。面接を開始した時点で課金されるのか、完了した時点で課金されるのかによって、実際の請求額は変わります。この論点は費用の見落としに直結するため、後半で詳しく扱います。
なお、対話型・録画型といった仕組みの違いによって単価帯が変わることもあります。方式そのものの違いを確認したい場合は、AI面接の仕組みと種類の解説をあわせてご覧ください。
月額固定型:件数が増えても変わらない
月額固定型は、毎月一定額を支払うことで面接を実施できる型です。件数が増えても月額が変わらないため、1件あたりの実質単価は件数に反比例して下がっていきます。
実務でこの型が効くのは、費用が読めるという点でしょう。予算が固定費として確定するため、期中に追加の予算申請が発生しません。応募が想定を超えても請求額が動かないので、繁忙期に費用を心配せずに済みます。
ただし、件数が少ない月も同額が発生します。年間の面接件数が読めて、かつ少ない採用では、従量課金型より割高になることもあるでしょう。この型は「件数が多い」から有利になるのではなく、「件数が読めない、または繁閑差が大きい」から有利になる、と整理しておくのが正確です。
面接回数による従量課金がない
『Our AI面接』は月額固定の定額制で、面接回数による従量課金がありません。面接を何回実施しても月額は変わらないため、応募数が読めない採用や、月ごとの応募数に大きな差がある採用でも、費用を固定費として組めます。
面接回数が増えるほど1件あたりの実質単価は下がる構造です。ただし、この構造が有利に働くのは一定の件数がある場合に限られるため、判断の分かれ目は後半の計算式でご確認ください。
初期費用と月額と従量を組み合わせる型
3つ目は、初期費用と月額と従量課金の3要素で構成される型です。機能や規模に応じて月額が変動し、面接件数に応じて従量分が乗る形になります。
要素が3つあるため、月額だけを見て比べると総額を読み違えやすくなります。月額が低く提示されていても、初期費用と従量分を足した年間の金額は別の順序になることがあるからです。
この型に近い設計として、面接1件あたりの単価とは別に、年額の基盤利用料が設定されているケースもあります。単価が安く見えても、年額の固定費が乗ることで総額が変わる構造です。
したがって組み合わせ型の見積を受け取ったときは、3つの要素をそれぞれ分けて書き出すところから始めてください。合計額だけを比べても、件数が動いたときにどう変わるかが読めません。
どの型が安いかは面接件数で入れ替わる
ここまでの3つの型に、唯一の正解はありません。どれが安いかは、自社の年間面接件数によって入れ替わります。
これは価格の高低の話ではなく、費用の決まり方が違うことによる構造的な結果です。従量課金型は件数に比例し、月額固定型は件数に関係しない。この2本の線は、どこかで必ず交わります。
そして交わる点は、単価と月額の組み合わせによって動きます。だからこそ、型を選ぶ前に自社の件数を数える必要があるわけです。件数が分からないまま型を選ぶのは、線が交わる場所を知らずにどちらが下かを議論するのに近い状態でしょう。
順序としては、件数を数える、型を見分ける、総額を出す。この順で進めれば判断がぶれません。
AI面接の費用相場を費目別に整理する

ここからは費目ごとの目安を整理します。先にお断りしておくと、以下の数字は価格を公開しているサービスから読み取れる幅であり、市場全体の統計平均ではありません。
価格を公開せず見積のみで対応するサービスも多いため、平均値を出せるだけの母数が存在しないのが実情です。ですので「この幅のなかに収まることが多い」という物差しとして使い、自社の金額は後半の計算で出していただく前提でお読みください。
| 費目 | 公開されている価格の幅 | 読み方 |
|---|---|---|
| 1面接あたりの単価 | 700円〜5,000円 | 面接の長さと質問項目数で帯が分かれる |
| 月額固定 | 公開例が少なく要見積 | 幅として示せる公開データが存在しない |
| 初期費用 | 0円〜要見積 | 0円表記でも別名目が乗ることがある |
| 無料枠 | ごく少数の件数 | 操作感とレポートの確認用 |
1面接あたりの単価は700円から5,000円の幅
従量課金型の単価は、価格を公開しているサービスで見ると700円から5,000円の幅に収まります。7倍以上の開きがありますが、これはサービスの優劣ではなく、面接の内容が違うことによる差です。
帯が分かれる理由は主に2つあります。ひとつは面接の長さで、5分から10分で終わる短時間の面接と、30分から40分かけて深掘りする面接では、処理する内容量が大きく違うためです。もうひとつは質問項目数と評価項目数で、確認する観点が増えるほど単価は上がる傾向にあるでしょう。
短時間で数をこなす設計のプランは幅の下側、質問項目を多く設定する設計のプランは上側に寄ります。つまり単価の違いは、面接1件で何をどこまで確認するかの違いだといえるでしょう。
自社の相場感を持つときは、この幅のどのあたりを想定すべきかを、面接の長さと質問数から先に決めておくと精度が上がります。
月額固定型は公開されている価格が少ない
月額固定型については、単価のような幅をお示しできません。金額を公開せず、規模や機能に応じた見積として対応するサービスが多いためです。
そのため、この費目で「相場は月何円から何円」と書くことには無理があります。公開されている数が少なく、しかもサービスごとに前提となる構成や月額に含まれる範囲が異なるためです。幅として提示できるだけの母数がない、というのが正確な表現でしょう。
実務上は、月額固定型を検討する場合は見積が前提になると考えておくのが現実的です。そのうえで、後半でご紹介する10の質問を同じ文面で複数社に送り、同じ条件で金額を出してもらう形になります。
なお、金額を公開しているサービスもありますので、参考として当社の価格を次に示します。
『Our AI面接』は月額7.5万円から
『Our AI面接』は月額75,000円(税別)からの定額制です。面接回数による従量課金はなく、契約期間は1年間となっています。
ただし、この75,000円は開始価格です。AI面接官をいくつ作成する必要があるかなどの条件によって金額は変動しますので、正確な金額は個別のお見積りが必要になります。自社の運用条件を伝えたうえで確認いただくのが確実です。
初期費用は0円のプランもある
初期費用については、0円と公開しているサービスがある一方、金額を公開せず見積扱いとするサービスもあります。したがって「0円から要見積」という書き方になります。
注意していただきたいのは、初期費用0円という表記があっても、初年度の一時費用がゼロとは限らない点です。管理画面の環境構築やアカウント発行は0円でも、導入支援、質問設計の代行、評価項目のカスタマイズ設定といった作業が別名目で見積に載ることがあります。
ですので、初期費用の欄に0円と書かれていても、そこで安心せずに初年度に一度だけ発生する費用をすべて洗い出すようにしてください。「初期費用」という項目名に入っていないだけで、実質的には同じ性質の費用というケースがあります。
具体的な確認の仕方は、後半の見積の質問リストにまとめました。
少数の件数に限った無料枠を用意するサービスもある
2026年に入ってから、ごく少数の面接件数に限った無料プランを提供するサービスが登場しています。件数の上限は小さいものの、実費をかけずに操作感とレポートの中身を確認できる選択肢です。
これは稟議の前段として使えます。決裁者に「実際の画面とレポートを見せる」ことができれば、費用の説明だけで進めるより話が早くなることがあるでしょう。無料枠のないサービスでも、件数や期間を限定した無料トライアルを用意しているケースは少なくありません。
ただし無料枠で確認できるのは操作感とレポートの体裁までです。自社の応募者データで評価の妥当性まで検証するには、件数を確保した検証が別途必要になります。
採用区分によって単価帯は変わる
同じサービスでも、採用区分によって単価帯が変わることがあります。
アルバイト・パート採用のように5分から10分で終える面接と、新卒・中途採用のように30分から40分かけて質問項目を増やす面接では、確認する内容量が違います。前者は幅の下側、後者は上側に入るのが一般的でしょう。
そのため、相場の数字を自社に当てはめるときは、自社が想定する面接の長さと質問数がどちらに近いかで見る必要があります。幅の下側の数字を見て「安い」と判断しても、それが短時間・少項目の設計であれば、自社の要件とは前提が違うかもしれません。
大量採用における費用の考え方については、アルバイト採用での活用方法でも具体的に扱っています。
ここまでが表に出ている費用です。総額を読み違えるのは、この外側にあります。
AI面接の月額料金の外側にかかる9項目

見積書に並ぶ金額は、実際に支払う総額の一部です。ここでは月額料金の外側にかかる9項目を整理します。
| # | 費目 | 費用が膨らむ条件 | 確認する質問 |
|---|---|---|---|
| ① | 課金の起点 | 開始時点で課金される設計 | 課金は開始時点ですか、完了時点ですか |
| ② | 途中離脱の課金 | 離脱した面接も課金対象 | 途中で離脱した面接は課金されますか |
| ③ | 再受検の課金 | 同じ求職者の再受検が再課金 | 同一の求職者が再受検した場合はどうなりますか |
| ④ | 評価レポート | レポートが1件ごとの追加課金 | 評価レポートは基本料金に含まれますか |
| ⑤ | カスタマイズ | 面接官・テンプレートを複数作成 | 面接官を複数作る場合の費用を教えてください |
| ⑥ | データ保存 | 保存上限の超過、保存期間の延長 | 保存の上限と、超過時と延長時の費用は |
| ⑦ | 外部システム連携 | 標準連携がなく個別開発になる | 当社のシステムは標準連携の対象ですか |
| ⑧ | 社内のレビュー工数 | レポートを人が全件確認する | (社内で測る)1件あたり何分かけるか |
| ⑨ | 法務・情シスの審査 | 個人データの取り扱いの確認 | (社内で測る)審査に何時間かかるか |
請求書に載る費用と社内で発生する費用を分ける
9項目は、性質の違う2つのグループに分かれます。①から⑦はベンダーへの支払いで、⑧と⑨は社内で発生する工数です。
この区別が重要なのは、確定させる方法が違うからです。①から⑦は見積書と契約書で確定できますが、⑧と⑨は自社で測るしかありません。相見積を取っても出てこない費用だといえます。
そして総額を読み違える原因は、たいてい後者にあります。ベンダーへの支払いは複数社を並べれば差が見えますが、社内工数はどのサービスを選んでも発生するため、比較の視野から外れてしまうのです。
以下では①から⑦を先に扱い、そのあとで⑧と⑨を扱います。前半は見積で確定させ、後半は自社で測るという役割分担で読み進めてください。
課金の起点が「開始」か「完了」かで実質単価が変わる
従量課金型でまず確認すべきは、課金の起点です。面接URLを発行した時点なのか、求職者が面接を開始した時点なのか、面接を完了した時点なのかによって、請求される件数が変わります。
これは細かい話ではありません。AI面接では、受検の途中で離脱する求職者が一定の割合で発生します。開始時点で課金される設計であれば、完了しなかった面接も請求対象になるわけです。
同じように確認したいのが再受検の扱いでしょう。通信トラブルなどで同じ求職者が再度受検した場合、それが1件として再課金されるのか、同一の求職者として扱われるのかで金額が変わります。
つまり単価が同じでも、課金条件が違えば実質単価は変わるということです。「1件700円」と「1件700円だが開始時点で課金され離脱分も請求される」は、同じ数字を提示していても意味が違います。
評価レポートが標準機能かオプションかを確認する
次に確認したいのが、AIによる評価レポートの扱いです。基本料金に含まれるのか、1件ごとの追加課金になるのかで、総額が大きく動きます。
面接件数が多いほど差は開きます。仮に1件あたりのレポート費用が数百円であっても、年間で数百件から数千件の面接を実施すれば、月額料金とは別に相応の金額が積み上がるでしょう。単価を比較するより先に確認しておく価値のある項目です。
同じ性質の費用として、カスタマイズ費用も挙げられます。用途別にAI面接官や面接テンプレートを複数作成する場合、独自の評価軸を追加する場合、多言語に対応する場合などに追加費用が発生することがあります。
自社が想定する運用が「面接官1つで足りる」のか「職種ごとに分けたい」のかによって、この項目の重みは変わります。運用の形を先に決めておくと、見積の精度が上がるはずです。
データ保存の上限と延長費用を確認する
AI面接では、面接の録画・音声・文字起こしといったデータが蓄積していきます。このデータの保存について、期間と件数に上限が設定されている場合があります。
確認したい論点は4つです。無料で保存できる期間と件数、上限を超えた場合の追加費用、保存期間を延長する場合の費用、そしてデータを書き出す場合の費用です。
見落としやすいのは最後の書き出しでしょう。契約を終了する際や、社内の別システムへ記録を移す際に、データのエクスポートに費用や制約がかかるケースがあります。契約前に確認しておくと、あとで困りません。
動画保存数には上限がある
『Our AI面接』もプランごとに動画保存数の上限があります。上限に達した場合は、不要な動画を削除して枠を回復させる運用になります。
そのため、想定する面接件数が多い場合や、長期にわたって動画を保管したい場合は、事前にご相談いただく必要があります。運用開始後に「保存できない」という事態を避けるため、年間の面接件数と保管したい期間をあらかじめお伝えいただくのが確実です。
外部システムとの連携は個別開発になると費用が変わる
すでに採用管理システム(ATS)を使っている場合、AI面接との連携をどう実現するかで費用が変わります。
標準連携の対象になっているシステムであれば、追加費用は小さく収まるでしょう。一方で標準連携がなく個別に開発する場合は、初期の開発費用に加えて、保守費用が継続的に発生する可能性があります。シングルサインオン(SSO)への対応も同様です。
したがって見積を依頼する段階で、自社が使っているシステム名を具体的に伝えることが重要になります。「ATS連携に対応していますか」という質問では、標準対応か個別開発かが分かりません。
なお、連携せずに運用する選択肢もあります。求職者へのURL案内と結果の確認が完結するなら、当面は連携なしで始めて、運用が固まってから検討するという順序も現実的でしょう。
AIレポートを人が確認する時間は残る
ここから社内で発生する費用に移ります。まず、AIレポートを人が確認する時間です。
AI面接を導入しても、レポートを読んで合否を判断する作業は残ります。AIが最終判断を下すのではなく、人が判断の材料として使う設計が前提であるためです。この点はサービスの仕様というより、採用における意思決定のあり方の問題でしょう。
そこで、1件あたり何分かけてレポートを確認するかを自社で決めて測っておいてください。この数字は後半の費用対効果の計算にそのまま使います。倍速再生や文字起こしを使って確認時間を圧縮できるサービスもありますので、実際に触って測るのが正確です。
「AI面接を導入すれば面接工数がゼロになる」という前提で計算すると、稟議の場で崩れやすくなります。残る工数を最初から見込んでおくほうが、説明としても強くなります。
情報セキュリティと法務の社内審査に工数がかかる
9項目の最後は、社内審査にかかる工数です。
AI面接では、氏名や連絡先に加えて、回答内容、文字起こし、評価情報、場合によっては録画や音声まで扱います。採用判断に直結する個人データですので、社内で確認すべき項目は多岐にわたります。
- 利用目的の整理と、求職者への説明の文面
- 委託先の管理と、再委託先の有無
- データの保存期間と削除の方法
- 海外での処理の有無と、実際に誰がデータを扱えるか
- AIの学習への二次利用の有無
- 管理画面へのアクセス権限と監査ログ
個人情報保護委員会は、利用する必要がなくなった個人データについて、遅滞なく消去するよう努めるべきとしています。この考え方は、契約時に保存期間と削除の条件を確認しておく根拠になるでしょう。また、AIの利用に関する政府の参照文書としては、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」が第1.2版(2026年3月31日)まで更新されています。
これらの審査にかかる社内工数は、企業規模と社内規程の厳しさで大きく変わるため、金額を一律にはお示しできません。自社の法務・情報システム部門の時間単価に想定時間を掛けて見積もるという出し方をおすすめします。推計にはなりますが、ゼロで置くよりは実態に近づきます。
法的な確認事項の詳細については、導入時に押さえる法務の観点でより広く扱っています。
参考:取得した個人情報は、いつ廃棄しなければなりませんか。(個人情報保護委員会) / AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省)
AI面接の費用は月何件から定額が有利になるのか

ここが本記事の中心です。従量課金型と月額固定型のどちらが安いかは、面接件数によって入れ替わります。その入れ替わる点は、計算で出せます。
「月50件を超えたら定額が有利」といった一般論を目にすることがありますが、この手の数字は特定の単価を前提にしています。単価が変われば結論も変わるため、そのまま自社に当てはめることはできません。
ですので、ここでは数字ではなく式をお渡しします。式であれば、どの単価と比べる場合でも使えます。
分岐点は「月額 ÷ 1件あたり単価」で出る
計算式はシンプルです。
月額固定型の月額 ÷ 従量課金型の1件あたり単価 = 定額のほうが安くなる月間件数
この件数を超えると、月額固定型のほうが総額は小さくなります。下回るなら従量課金型のほうが小さい、という関係です。
なぜこうなるのかは、費用の決まり方の違いから説明できます。従量課金型の費用は「単価 × 件数」で、件数に比例して増えていきます。月額固定型は件数に関係なく一定です。
前者は右上がりの直線、後者は水平な線になり、この2本はどこかで交わります。交点が分岐点というわけです。
この式の利点は、比べる相手が変わっても使えることでしょう。単価700円のサービスと比べるのか、5,000円のサービスと比べるのかで分岐点は動きますが、式そのものは変わりません。
単価別の分岐件数を並べる
式を実際の数字で見てみましょう。ここでは月額固定型として当社の月額75,000円を基準に置き、単価を4パターンで計算します。
| 従量の単価 | 分岐点(月間件数) | 件数が分岐点の2倍のときの1件あたり | 分岐点の年間件数 |
|---|---|---|---|
| 700円 | 約107件 | 350円 | 約1,286件 |
| 1,000円 | 75件 | 500円 | 900件 |
| 3,000円 | 25件 | 1,500円 | 300件 |
| 5,000円 | 15件 | 2,500円 | 180件 |
注目していただきたいのは、同じ月額でも比べる相手の単価によって分岐点が7倍動くという点です。単価700円と比べるなら月107件が境目ですが、単価5,000円と比べるなら月15件で入れ替わります。
つまり「月何件から定額が得か」という問いには、単一の答えがありません。「どの単価と比べるか」が決まらないと計算できないからです。ここを飛ばして件数の目安だけを覚えても、自社の判断には使えません。
なお、分岐点を超えたあとは1件あたりの実質単価が下がり続けます。月額75,000円で月150件を実施すれば1件あたり500円、月300件なら250円という計算になります。
面接件数別の年間総額を並べる
件数ごとの年間総額を並べると、入れ替わりがより具体的に見えます。月額固定型は月額75,000円を12カ月分として90万円で固定になります。
| 月間件数 | 単価700円 | 単価1,000円 | 単価3,000円 | 単価5,000円 | 月額固定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10件 | 8.4万円 | 12万円 | 36万円 | 60万円 | 90万円 |
| 20件 | 16.8万円 | 24万円 | 72万円 | 120万円 | 90万円 |
| 50件 | 42万円 | 60万円 | 180万円 | 300万円 | 90万円 |
| 100件 | 84万円 | 120万円 | 360万円 | 600万円 | 90万円 |
| 200件 | 168万円 | 240万円 | 720万円 | 1,200万円 | 90万円 |
| 300件 | 252万円 | 360万円 | 1,080万円 | 1,800万円 | 90万円 |
表の各行を左から右へたどると、単価が高いサービスと比べる場合は少ない件数で90万円を超え、単価が安いサービスと比べる場合は多くの件数まで下回り続けることが読み取れます。月額固定の90万円は初期費用とオプションを含みませんので、実際の判断では前の章で整理した費目を足してください。
面接件数が少なければ従量課金のほうが安い
ここで、当社にとって不都合な結論も書いておきます。
年間の面接件数が少なく、かつ件数が読める採用であれば、従量課金型のほうが総額は安くなります。当社は月額固定型ですので、この条件に当てはまる企業にとっては当社の料金体系は最適ではありません。
たとえば単価1,000円のサービスと比べる場合、月間の面接件数が75件を下回るなら従量課金型のほうが安く済みます。年間900件を下回る規模であれば、そちらを選ぶのが合理的でしょう。
ですので、月額固定型が有利になる条件を「件数が多いこと」と説明するのは正確ではありません。正しくは件数が読めない、または月ごとの繁閑差が大きいことです。件数が読めて少ないなら従量課金型、読めないか多いなら月額固定型、という整理になります。
件数が増えても月額は変わらない
『Our AI面接』は面接回数による従量課金がありません。月額75,000円(税別)からの定額制で、回数が増えても月額は変わりませんので、実施件数が増えるほど1件あたりの実質単価は下がっていきます。
ただし前述のとおり、年間の面接件数が少ない場合や、数カ月だけの短期利用を想定している場合には向きません。契約期間も1年間ですので、まず自社の件数を数えたうえでご判断いただくのが確実です。
自社の年間面接件数を数える3ステップ
ここまでの計算には、自社の面接件数が必要です。その件数の出し方を3つのステップに分けます。
- ステップ1:年間の採用目標人数を置く。職種ごとに分かれている場合は、AI面接を使う職種だけを合計する
- ステップ2:直近の実績から応募数を出す。採用1人あたり何件の応募が必要だったかの実績値に、目標人数を掛ける
- ステップ3:書類選考の通過率を掛けて、一次面接の件数を出す。書類選考を行わず全員と面接する運用なら、応募数がそのまま面接件数になる
この3ステップで年間の件数が出ます。分岐点の式に入れるのは月間の件数ですので、12で割ってください。
ただし、平均だけで判断すると危険な場合があります。従量課金型では月ごとの請求額が繁忙期に跳ねるため、月別の件数を並べて振れ幅も見ておくことをおすすめします。年間総額は平均で出せますが、月ごとの資金の動きは平均では見えません。
なお、書類選考を省いて応募者全員と面接する運用に切り替えると、面接件数は増えますが母集団の取りこぼしは減ります。件数が増えることは費用の増加要因ですが、採用の成果としては望ましい方向ですので、両方を見て判断してください。
件数が読めないときは上限のある型を選ぶ
件数が出せない場合もあります。新規事業の立ち上げ、店舗の新規出店、季節による繁閑差が大きい採用などでは、応募数の見通しが立ちません。
このとき従量課金型を選ぶと、費用の上限が読めない状態になります。応募が想定を超えれば請求額もそのまま増えるため、期中の予算超過が起きやすくなるでしょう。稟議で「応募が2倍になったらいくらですか」と問われて答えられない、という事態にもなりがちです。
見方を変えると、件数が読めないこと自体が、上限のある料金体系を選ぶ理由になるといえます。予算が固定されていれば、応募が増えても稟議をやり直す必要がありません。
もちろん、どちらを選ぶかは自社の状況次第です。件数の見通しが立たないという状態を「まだ判断できない」ではなく「判断材料のひとつ」として扱っていただければと思います。
AI面接の費用を見積で確定させる10の質問

ここまでで、自社の件数と積み上げる費目は揃いました。あとは実際の金額を確定させる作業です。
同じ条件で聞かないと総額は並べられない
見積を依頼する前に決めておくことがあります。何を聞くかです。
聞くことを決めずに問い合わせると、返ってくる説明の切り口が揃いません。ある回答は機能の細かさを中心に、別の回答は運用の進め方を中心に返ってくる。粒度も観点もばらばらな資料が手元に積み上がっていきます。
そうなると横に並べようがなく、最後は唯一そろっている項目、つまり月額料金だけで決めることになりがちです。せっかく複数社に話を聞いたのに、判断材料としては1軸しか使えていない状態でしょう。
順序としては逆にしてください。先に聞くことを決めて、同じ文面で複数社に送る。これだけで、返ってくる回答が並べられる形になります。
そのまま送れる10の質問
以下の10問を、そのまま見積依頼に添えてお使いください。自社の状況に合わせて文面を調整していただいて構いません。
- ① 料金体系の型を教えてください(従量課金/月額固定/初期費用+月額+従量のいずれか)
- ② 初期費用の金額と、その内訳を教えてください
- ③ 月額に含まれる範囲を教えてください(アカウント数、AI面接官の作成数、面接テンプレート数)
- ④ 従量課金の場合、課金の起点は面接の開始時点ですか、完了時点ですか
- ⑤ 途中で離脱した面接と、同一の求職者の再受検は課金対象になりますか
- ⑥ AIの評価レポートは基本料金に含まれますか。追加課金の場合は単価を教えてください
- ⑦ データの保存期間と保存件数の上限、超過時と延長時の費用を教えてください
- ⑧ 当社が使用している採用管理システムは標準連携の対象ですか。個別開発になる場合は初期費用と保守費用を教えてください
- ⑨ 最低契約期間、自動更新の有無、解約通知の期限を教えてください
- ⑩ 当社の想定面接件数(月◯件・年◯件)が2倍になった場合、年間総額はいくらになりますか
10問のうち最も効くのは⑩でしょう。この質問には、料金体系の型と課金条件の両方が答えとして現れます。金額の変化を見れば、その見積が件数の変動にどう反応するかが一目で分かります。
契約期間と解約条件は必ず確認する
10問のなかで、後から取り返しがつかないのが⑨です。
年間契約で自動更新の場合、解約通知の期限を過ぎると次年度分の費用が発生します。「合わなかったら来年やめればいい」と考えていたのに、通知の期限を知らずに1年延びてしまう、というのは実際に起きることでしょう。
稟議の場でも必ず問われる項目です。決裁者からすれば、支出が何年続くのかは金額そのものと同じくらい重要な情報になります。ですので最低契約期間・自動更新の有無・解約通知の期限の3点は、見積の段階で書面として受け取っておいてください。
口頭で確認しただけだと、担当者が変わったときに確認のしようがなくなります。
契約期間は1年から
『Our AI面接』の契約期間は1年間です。数カ月だけのスポット利用を前提とされている場合には合いません。
無料のお試し面接をご用意していますので、アバターとの対話の様子と生成されるレポートの中身を、契約前にご確認いただけます。
見積は2社以上から同じ条件で取る
最後に、比較検討そのものについて触れておきます。
1社だけの見積では、その金額が自社の条件に対して妥当かを判断する材料がありません。金額の高低ではなく、料金体系の型が自社の件数に合っているかどうかを見るためにも、複数の選択肢を並べる意味があります。
当社としても、複数社を比べたうえで選んでいただいたほうが、導入後の運用がうまくいくと考えています。件数が読めて少ない採用であれば従量課金型のほうが安く済むと本文で書いたのも、同じ理由からです。
具体的には、前述の10問を同じ文面で送り、同じ期間・同じ件数・同じ機能範囲で年間総額を出してもらってください。そのうえで、料金体系の型と課金条件を並べて確認する。この工程を踏んだ比較は社内でも説明しやすく、導入後に「聞いておけばよかった」が出にくくなります。
見積の先の手順については、準備から運用開始までの進め方にまとめてあります。

AI面接の費用対効果を自社の数字で出す

費用が出たら、次はその費用に見合う効果があるかを確認します。ここでも自社の数字を使います。
比べる相手は他社ではなく現在の一次面接の原価
効果を測るとき、比較の相手を間違えないことが大切です。
比べるべきは他のAI面接サービスではありません。いま、人が一次面接を行っている場合の原価です。AI面接を入れるかどうかの判断は、他社との比較ではなく、現状との比較で決まります。
この置き方には実務上の利点もあります。他社の価格と比べた「安さ」は、決裁者にとっては判断材料になりにくいものです。一方で「現状はこれだけかかっており、導入後はこれだけになる」という差額は、そのまま稟議の数字になります。
ですので、以下では現状の原価を出す作業から始めます。少し手間はかかりますが、ここで出した数字が最後まで使えます。
一次面接1件の原価を計算する
現状の原価は、3つの数字の掛け算で出ます。
- 1件あたりの所要時間:日程調整、面接の実施、評価の記録までを含めて実測する。目安の数字を借りず、直近に実施した数件を実際に測るのが確実です
- 面接に関わる社員の時間単価:自社の人件費から算出する。相場の数字ではなく自社の数字を使う
- 年間の面接件数:前の章の3ステップで出した数字をそのまま使う
この3つを掛けると、現状の年間原価が出ます。時間単価については、面接に出ている社員の職位で変わりますので、実際に一次面接を担当している方の単価で計算してください。役員や部門長が一次面接に入っている場合は、単価が高くなるぶん削減効果も大きく出ます。
所要時間を測るときのコツは、面接そのものの時間だけで計算しないことです。日程調整のやり取りと、評価を記録して共有するまでの時間を必ず含めてください。この2つは面接時間より長くなることも珍しくありません。
削減額は「導入後も残る工数」を引いて出す
ここが計算のいちばん重要なところです。削減額は、現状の原価からAI面接の費用を引くだけでは出ません。
計算式は次のようになります。
年間削減額 = 現状の年間原価 −(AI面接の年間総額 + 導入後も残るレビュー工数 + 質問と評価項目の設計工数)
レビュー工数は、前の章の項目⑧で測っていただいた「1件あたり何分」に年間件数と時間単価を掛けた金額です。設計工数は、質問と評価項目を作る初期の作業に加えて、職種や採用時期に応じて見直す時間を見込んでおきます。
なお、この式のAI面接の年間総額には初期費用を含めません。初期費用は次の回収期間の計算で使いますので、ここに入れると二重に見ることになります。
前章でも触れたとおり、残る工数を引かずに出した削減額は、稟議の場で前提を突かれます。最初から引いておくほうが、数字としても説明としても強くなるでしょう。
一次面接の確認時間を88.87%削減
参考として、当社が自社の採用で検証した結果をお示しします。2025年10月から12月までの3カ月間で、一次面接の確認時間を88.87%削減しました。削減した時間は110.79時間で、社内の時間単価を掛けると約110万円相当になります。
この数字には3点の留保があります。削減対象が確認時間であること、金額換算が試算であること、自社検証であることです。詳しくは後述の自社章で説明します。
回収期間は初期費用を月間削減額で割る
3つ目の数字が回収期間です。式は次のとおりです。
回収期間(月)= 初期費用 ÷ 月間の削減額
月間の削減額は、前項で出した年間削減額を12で割ったものです。初期費用が0円であれば回収期間は初月ということになりますが、その場合も判断は別に必要です。年間総額を下回る削減額しか出ないのであれば、初期費用が0円でも導入する意味は薄くなります。
つまり回収期間は「初期投資が何カ月で戻るか」を示す数字であり、「導入すべきか」の判断そのものではありません。判断は年間削減額が年間総額を上回るかどうかで決まります。この2つを分けて見ておくと、稟議での説明がぶれません。
自社の数字で試算される場合は、ここまでの3つの式に面接件数と時間単価を当てはめてください。年間削減額が年間総額を上回っていれば、費用に見合う効果が出ている状態だと判断できます。
削減額以外に効果として数えられるもの
金額に換算しきれない効果もあります。稟議では別枠で扱うのが実務的でしょう。
- 応募から一次面接までの日数が短縮される
- 夜間や土日の応募を翌営業日まで待たせずに済み、辞退が減る
- 面接官による評価のばらつきが小さくなる
- 面接会場費と交通費が減る
- 書類では判断できなかった求職者と会える機会が増える
これらは効果として実在しますが、金額に換算するには前提を多く置く必要があります。たとえば辞退の減少を金額にするには、辞退1件あたりの損失額を仮定しなければなりません。仮定を重ねた数字は、稟議の場で前提を突かれると崩れます。
ですので金額に換算した削減額と、換算しない定性効果を分けて書くようにしてください。定性効果は「金額には入れていないが、こうした変化も見込んでいる」という形で添えるほうが、かえって信頼されます。
評価のばらつきを抑える仕組みについては、面接の型を統一して評価をそろえる考え方で詳しく扱っています。
効果まで出ました。あとは、これを社内に通す形に組み替えます。
AI面接の費用を稟議に出すときの3つの数字

費用を調べる方の多くは、ご自身で決裁できる立場にはありません。ここまで出した数字を、社内で通る形に組み替えます。
決裁者が見るのは総額と削減額と回収期間
決裁者が費用の稟議で見る数字は、実質的に3つに絞られます。
| 数字 | 計算式 | 記入欄 |
|---|---|---|
| 初年度総額 | 初期費用 + 年間総額 (年間総額=月額×12+オプション) |
円 |
| 年間削減額 | 現状の年間原価 −(年間総額+残るレビュー工数+設計工数) | 円 |
| 回収期間 | 初期費用 ÷ 月間の削減額 | カ月 |
この3行が埋まっていれば、費用の説明としては足ります。逆に、機能の一覧や他社との比較表を分厚く添えても、この3つが出ていない稟議は止まります。
作る順序は、年間削減額が先です。現状の原価を測る作業がいちばん時間がかかるためで、ここが出れば残る2つは計算するだけになります。先に見積を取り、後から現状の原価を測ろうとすると、稟議の直前に慌てることになります。
下の計算ツールは、この3行をまとめて出します。自社の現状、検討中のサービスの料金、導入後に残る工数を入れてください。件数が想定を下回った場合の数字も併せて表示します。
1. 自社の現状(実測値を入れてください)
2. 検討中のAI面接サービス
3. 導入後も社内に残る工数
| 年間の一次面接件数 | – |
|---|---|
| 現状の年間原価(人が面接した場合) | – |
| AI面接の年間総額(初期費用を含まない) | – |
| 1件あたりの実質単価 | – |
| 導入後も残る社内工数(年間) | – |
| ① 初年度総額 | – |
| ② 年間削減額 | – |
| ③ 回収期間 | – |
計算式は本文と同じです。年間削減額=現状の年間原価−(年間総額+残るレビュー工数+設計工数)。初年度総額=初期費用+年間総額。回収期間=初期費用÷月間の削減額。初期費用は年間総額に含めず、回収期間の分子としてのみ使っています。出力はすべて入力値に基づく試算であり、正式なお見積りではありません。
月額ではなく初年度総額で決裁ラインを確認する
実務上の落とし穴をひとつ挙げます。決裁権限は金額で階層が分かれているため、月額だけを見て決裁者を判断すると読み違えます。
月額が数万円台であれば部門長の決裁で済むと考えていたところ、初期費用を足した初年度総額が階層の境目を超えていて、本部長や役員の決裁が必要になる。こうしたケースは珍しくありません。決裁者が一段上がれば、必要な資料も説明の相手も変わります。
ですので見積を受け取ったら、月額ではなく初年度総額で自社の決裁権限規程を確認してください。初期費用が0円かどうかで階層が変わることもあります。
なお、稟議書のどの欄に何を書くか、部門ごとの反対意見にどう答えるかといった書式の実務は、本記事では扱いません。ここでは金額の根拠を作るところまでを担います。
「本当に安くなるのか」に答える形にする
決裁者から必ず出る質問がひとつあります。「本当に安くなるのか」です。
この問いに答えられる稟議には、3つの要素が入っています。
- 現状の原価を、自社の実測(件数 × 時間 × 時間単価)で出していること
- 導入後も残る工数を引いた純額で削減額を出していること
- 件数が想定を下回った場合の総額も併記していること
3つ目が抜けている稟議は、「応募が減ったらどうなるのか」という一言で止まります。月額固定型を選ぶ場合はとくに、件数が想定の半分だった場合の1件あたり単価まで出しておくと、質問を先回りできるでしょう。
都合の良い前提だけを並べた数字は、かえって信頼を落とします。下振れしたときの数字を自分から出しているほうが、上振れの数字も信じてもらえます。
効果が出なかったときの撤退条件を先に書く
最後に、費用リスクの管理について触れます。
契約期間と解約通知の期限を確認したうえで、どの指標が何を下回ったら継続しないかを先に決めておいてください。判断の材料になる指標としては、面接完了率、受検の途中離脱率、AIレポートの確認にかかる時間、一次面接から二次面接への通過率などが挙げられます。
撤退条件を先に書いておくと、稟議が通りやすくなる面もあります。決裁者にとっては「うまくいかなかった場合に止められる」という情報が、金額の妥当性と同じくらい安心材料になるからです。
AI面接の費用で安く見えて高くなる4つのケース

ここまでの手順を踏んでも、想定より費用がかかることはあります。よくある4つのケースを挙げておきます。
単価だけで選び、件数が想定を超えた
1つ目は、単価の安さを基準に従量課金型を選んだケースです。
導入時の想定では月30件程度だったところ、繁忙期に応募が集中して月100件を超えた。単価は変わらないので請求額はそのまま3倍以上になり、期中の予算を超過してしまう。上限が読めない料金体系では、この形の超過が起こります。
このケースが厄介なのは、応募が増えるという「良いこと」が費用の問題に変わってしまう点でしょう。採用の成果としては望ましい状況なのに、費用の説明に追われることになります。
避けるには、分岐点の計算を先に済ませておくことです。単価と月額の分岐点が分かっていれば、件数が伸びたときにどの水準で料金体系の見直しを検討するかをあらかじめ決められます。
定額制を選んだが件数が伸びなかった
2つ目は、当社にも当てはまるリスクです。
件数が読めないからと月額固定型を選んだものの、実際の面接件数が分岐点を大きく下回った。月額は変わらないため、1件あたりの実質単価は従量課金型より高くなってしまう。年間契約であれば、途中で切り替えることもできません。
このケースは、採用計画そのものが動いたときに起こりやすいでしょう。事業計画の変更で採用数が絞られた、想定した職種の募集が延期になった、といった事情です。
対策としては、月額固定型を検討する段階で件数が想定の半分だった場合の1件あたり単価を計算しておくことです。その金額を見ても許容できるなら進めればよく、許容できないなら従量課金型から始める判断もあります。当社としても、この計算をしていただいたうえでご検討いただくのが望ましいと考えています。
レポートと保存の追加費用が積み上がった
3つ目は、月額と単価は想定内だったのに、周辺の費用で総額が膨らむケースです。
評価レポートが1件ごとの追加課金だった、データ保存の上限を超えて追加費用が発生した、職種を増やすたびに面接テンプレートの作成費用がかかった。ひとつひとつは小さな金額でも、年間の件数を掛けると相応の額になります。
これは見積の読み方の問題だといえます。合計額だけを見て「想定内」と判断すると、どの費目が件数に連動するのかが見えません。件数に連動する費目と、連動しない固定費を分けて書き出すだけで防げます。
前述の9項目と10の質問は、まさにこのケースを避けるためのものです。見積の段階で潰しておけば、運用開始後に驚くことはありません。
求職者が受けきれず応募が減った
4つ目は、費用の話で最も落としやすい観点です。
工数と費用は下がったのに、AI面接に抵抗を持つ求職者の辞退が増え、採用単価全体では悪化した。面接1件のコストは下がっても、必要な人数を採るまでの総コストが上がるケースです。
実際に、求職者側にはAIによる評価への慎重な見方があります。リクルートマネジメントソリューションズが2025年7月に実施した調査では、大学4年生・大学院2年生685名から回答を得ています。面接の場面で人に評価されたいと答えた学生は63.0%、AIに評価されたいと答えた学生は15.8%でした。10人に6人が人による評価を望んでいる、という結果になります。
ですので、AIが一次面接を担い、最終判断と惹きつけは人が行うという設計をおすすめします。あわせて面接完了率と受検の途中離脱率を導入初期から測っておくと、離脱が増えていないかを早く把握できるでしょう。
費用以外の注意点については、導入で得られるものと注意すべき点をあわせてご覧ください。
参考:AI面接経験のある26卒は約3割 6割以上が「人に評価されたい」(リクルートマネジメントソリューションズ調査/HRzine)
『Our AI面接』の費用の考え方

ここからは自社のサービスを例に説明します。ここまで中立に整理してきた内容を、実際の料金体系に当てはめるとどうなるかの一例としてお読みください。金額と契約条件、そして向かないケースまで並べます。
月額定額で従量課金がない料金設計
『Our AI面接』は、JetB株式会社が提供する定額制のAI面接サービスです。費用面の設計は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金体系 | 月額固定の定額制。面接回数による従量課金なし |
| 月額 | 75,000円(税別)〜 |
| 面接回数 | 回数による従量課金なし。回数が増えても月額は変わりません |
| 契約期間 | 1年間 |
| 金額が変動する条件 | AI面接官の必要作成数など。詳細はお問い合わせください |
| 動画保存数 | プランごとに上限あり。削除で枠を回復する運用 |
初期費用の有無やオプションの詳細については、運用条件によって変わりますので、個別にご確認いただく形をとっています。全項目を埋めた価格表をお出しできないのは、条件によって金額が変わるためです。
一次面接の確認時間を88.87%削減した自社検証
費用対効果の参考として、当社自身が採用で使った検証結果を再掲します。
2025年10月から12月までの3カ月間、一次面接の確認時間を88.87%削減しました。削減時間は110.79時間、社内の時間単価を掛けた金額換算は約110万円相当です。稼働20日で計算すると、1稼働日あたり約1.8時間が戻ってきた計算になります(3カ月×20日=60稼働日での換算による推計です)。
数字の意味としては、面接9件分の確認がおよそ1件分の手間に収まった、という規模感になります。読み方については3点はっきりさせておきます。
- 削減したのは面接内容を確認する時間であり、採用業務全体の工数ではありません
- 約110万円は削減時間に社内の時間単価を掛けた試算で、AI面接の利用料を引いた純額ではありません
- 自社での検証結果であり、第三者による対照試験ではありません
つまり、この数字をそのまま自社の削減額として使うことはできません。前の章でご説明した手順で、貴社の面接件数と時間単価を入れて計算していただく必要があります。当社の数字は、削減が起こる仕組みを確認するための一例としてお使いください。
定額制が向く採用と向かない採用
最後に、当社の料金体系が合わないケースを挙げておきます。
| 向く採用 | 向かない採用 |
|---|---|
| 応募数が読めない採用 | 年間の面接件数が少ない採用 |
| 月ごとの繁閑差が大きい採用 | 件数が読めて、かつ少ない採用 |
| 通年で採用を続ける運用 | 数カ月だけの短期スポット利用 |
| 予算を固定費として確定させたい場合 | 管理職・専門職の見極めが主目的で件数が出ない採用 |
とくに右側の4つ目は、料金体系とは別の理由もあります。管理職・専門職・クリエイティブ職の適性判断は、AIだけで完結させるのが得策ではありません。二次以降の対人面接を前提とした設計が必要になるため、件数も出にくくなります。
ですので、判断は分岐点の式に戻していただくのが確実です。月額75,000円を、比較しているサービスの単価で割ってください。その件数を自社が超えるかどうかが、当社を選ぶ意味があるかどうかの分かれ目になります。
AI面接の費用は単価ではなく年間総額で決まる

AI面接の費用は、1件あたりの単価では決まりません。自社の年間面接件数を入れた年間総額で決まります。
従量課金型と月額固定型のどちらが安いかは、月額 ÷ 1件あたり単価で出る件数を境に入れ替わります。同じ月額でも、比べる相手の単価によって分岐点は7倍動きます。ですので相場を調べる前に、自社の件数を数えるところから始めてください。
進め方をまとめます。
- 年間の採用目標人数から応募数、書類通過率をたどって一次面接の件数を出す
- 月額の外側にかかる9項目を洗い出し、10の質問を2社以上に同じ文面で送る
- 現状の一次面接の原価を実測し、残る工数を引いて年間削減額を出す
- 初年度総額・年間削減額・回収期間の3つを揃えて稟議に出す
手間はかかります。ただ、この工程を踏んだ費用の説明は社内でも通りやすく、導入後に「聞いておけばよかった」が出にくくなるはずです。
『Our AI面接』の料金や仕様の詳細は、お問い合わせから個別にご案内しています。定額制が向く採用と向かない採用を本文で率直に書いたとおり、まずは分岐点の計算をしていただいたうえでご検討ください。

AI面接の企業向け関連記事
| 基礎知識 | |
|---|---|
| AI面接とは? | AI面談との違い |
| メリット・デメリット | 費用相場・料金体系 |
| 導入すべき理由 | 導入の流れ |
| PoC(概念実証)の進め方 | 稟議書の書き方 |
| 比較のポイント | |
| 機能・手法 | |
| 深掘り質問 | 構造化面接 |
| ケース面接 | |
| 採用ターゲット別 | |
| 新卒採用 | インターン選考 |
| 中途採用 | アルバイト採用 |
| 業界・企業別 | |
| 飲食業界 | 接客業界 |
| 介護業界 | 物流・運送業界 |
| 建設業界 | コールセンター(BPO) |
| 人材紹介会社 | 人材派遣会社 |
| SES | |